東アジアの犬食文化

中国をはじめとする広い地域で犬を食用とする習慣があって、その歴史は深い。犬食の習慣は日本を含めた東アジア、東南アジア及びハワイ、ポリネシアミクロネシアオセアニアなどの島嶼に多く存在する。日本は、徳川綱吉が生類憐みの令が発令されるまでは犬を食べる習慣があったといわれている。 欧州では牧畜が盛んであった為、中国、朝鮮などと異なり、犬との共存生活が長く、家族同然の扱いをおこなっており、食用にはしてこなかった。近年はアジア圏でも、生活習慣の変化に伴い、愛犬家や若者を中心に犬食を忌む傾向も生じている。

 中国や朝鮮半島のような古くからの農耕社会、またはアジアやオセアニア島嶼域の様な農村的社会が支配的な地域に犬食文化があったとされている。一方、犬食が忌まれる地域は、牧畜社会、遊牧社会、狩猟採集社会の支配的な地域と、西アジアのように、食用動物に関する宗教上の禁忌が存在する地域がある。犬食文化が忌避される理由は、人間と心情レベルでコミュニケーションを取れる動物をある時点を以て食用と見なすことに対する心理的な違和感から来るものであり、犬をペットと見なす文化圏においてこの感情は強い。しかし、食糧事情が切迫している状況においてこれを食すことに対しては人食に対する嫌悪と異なり、一般に倫理的な批判が向けられることはない。なぜだろうか?